販売中の中古車で「法定整備付き」という表示を目にしたことはありませんか?この法定整備を「車検整備」と混合している人がいるかもしれませんが、この2つには大きな違いがあります。そこでこの記事では、自動車を運転する者として知っておくべき「法定整備」の基本的な知識をはじめ、「車検整備」との違いについても解説。知識を身につけて、中古車選びの参考にしましょう。
1.法定整備とは
法定整備とは、道路運送車両法という法律によって定められた点検整備のことです。車を所有する者は、車が安全に走行できる状態を保つために定期的な点検を実施する義務があり、法定整備を受けなければいけません。
そもそも国土交通省によって、自動車の点検整備は2つに分類されています。1つは「日常点検整備」です。これは日常的に車を使いながら、車の所有者が自ら行うべき点検のこと。ガソリンスタンドでタイヤの空気圧をチェックしたり、ウォッシャー液の減りを確かめて補充したりと、専門な知識がなくてもできる簡単なものを指します。
もう1つは「定期点検整備」です。こちらが「法定整備」を指しており、業者が行うべき専門的な点検整備になります。国土交通省によって点検の時期や点検の項目が定められており、高度な知識や技術、整備ための設備がなければ法定整備を実施してはいけません。そのため一般的に法定整備は、国の認証を受けた「認証工場」や「指定工場」で受けます。
2.法定整備は義務!受けないとどうなる?
国土交通省によると、車の点検整備は使用者の義務としています。特に一般的に法定整備と呼ばれる「定期点検整備」は、標準的な使用状況および一般的な構造・装置である自動車を前提とし、定期的に行う必要があると定めています。
その行うべき時期とは、軽自動車や自家用乗用車といったマイカーか、トラックやバス、タクシーといった事業用かによっても異なります。例えばマイカーの場合、1年ごとに27項目、2年ごとに1年ごとの27項目を含む合計57項目の点検をします。しかし義務とはいえ、法定整備を受けなかったとしても、何か罰則があるわけではありません。なぜなら「車検」と呼ばれるものがあるからです。
車検とは、自動車に定期的な検査を実施して公道を走るのに安全性に問題がないかチェックする制度で、2~3年ごとに受けます。この車検には、法定整備をセットにしなければならないという決まりはありません。しかし車検を通すために、車所有者は2年ごとの法定整備も一緒に行うケースが多いという背景があり、実質的にほとんどの車が2年ごとの法定整備を受けている現状があります。
とはいえ本当であれば、1年ごとの法定整備も必要です。しかし国土交通省の調査によると、約半数の車所有者が1年ごとの法定整備を受けていないことがわかりました。罰則がないからといっても、安全面を考えると1年ごとの点検も非常に大切です。特に新車の場合、しっかり法定整備を受けておかないとメーカー保証の対象にならないこともあるので、法定整備は1年ごとに受けるようにしましょう。
3.法定整備に期限はあるの?
車検には車検期日がありますが、法定整備はいつまでに受けなければいけないという期限はありません。原則、車の所有者の判断によって実施されるものになります。
「1年ごとに法定整備を受けるのは面倒…」と思う方も多いかもしれません。しかし、1年ごとに法定整備を受けておけば、万が一、購入後に不具合があった場合にメーカー保証が受けられたり、整備不良が原因で交通事故が生じても法的責任が軽くなったり、さらに点検整備簿に記録が残ったりとメリットが多くあります。点検整備簿への記録がしっかり記載されていれば、後々に車を手放す際にも査定額が上がりやすくなるでしょう。
逆にデメリットは、費用や手間がかかることです。しかし1年ごとの法定整備を受けずに、車検時だけに受けると、交換部品や修理箇所が多くなり費用がかさむことも想定されます。もしまとまった費用を捻出するのが厳しいのであれば、法定整備を1年ごとに受けた方がよいでしょう。
4.車検整備と法定整備の違いは?
「法定整備についてはわかったけれど、じゃあ車検整備の違いは?」と思った人も多いでしょう。確かに、両者の違いについては分かりにくいところもあります。以下に2つの違いをまとめてみました。
マイカー(軽自動車や自家用乗用車)の場合
法定整備 | 車検整備 | |
---|---|---|
目的 | 自動車の安全な走行を保つために点検・整備する | 自動車の安全面・環境面が保安基準(道路運送車両法で定められた規定)に適しているか点検・整備する |
期間 | 1年ごと、または2年ごと | 新車は購入から3年後、その後2年ごと |
費用 | 1年ごとの点検で10,000〜15,000円 2年ごとの点検で20,000円程度 |
車種や車両状態によって異なるが、おおよそ100,000円~ |
その他 | ・点検をして不備があった箇所はすべて整備する ・将来的に交換が必要な部品などもチェックする |
・検査基準にクリアしているかをチェックする ・将来的に交換が必要な部品等はチェックしない |
大きな違いとして、法定整備は不具合や交換部品などが見つかれば整備するのに対して、一方の車検整備は、あくまでも法定の基準をクリアしているかを確認するため、将来的に交換が必要な部品があったとしても、基準に満たしていれば問題ないと判断されます。そのため将来的に交換が必要な箇所へのアプローチは、法定整備でカバーしなければいけません。
ちなみに車検整備は、大きく3つの費用に分けられます。法定費用と車検基本費用、そして部品交換費用です。
法定費用 | 自動車重量税や自賠責保険料など法律によって定められている費用 |
車検基本費用 | 車検を依頼するディーラーや整備工場等に支払う手数料 |
部品交換費用 | 交換が必要な消耗品代やその交換工賃 |
1年ごとに法定整備を受けることで、3番目の部品交換費用に大きく差が出ます。1年ごとに点検をしておけば、車検時にまとめて交換する必要がないので、総額の車検費用は安く抑えられます。また車検の依頼先は、ディーラーや整備工場、ガソリンスタンド、車検業者などがありますが、安さを求めるのであれば、ディーラー以外で依頼した方が費用を抑えられます。
5.法定整備の費用
「法定整備の費用をかけないためにも、自分で行うことは可能なの?」と思った人もいるかもしれません。確かに、自分で行えば法定整備のコストはかかりません。しかし点検には、技術や点検記録簿への記載といった専門知識が必要になります。しかも1年ごとの点検であれば、専門業者でなくても行える点検項目は多いですが、2年ごとの点検は車をリフトアップしなければいけない項目もあるので、業者にお願いした方が安全といえます。
先述したように、車検の依頼先はディーラーや整備工場、ガソリンスタンドなどがありますが、法定整備の費用は依頼先によって異なります。ディーラーに依頼すると、他の店より費用は割高にはなりますが、部品交換で純正品が使えるというメリットも。ディーラー以外だと、純正品を使わないことでトータルのコストを安く抑えられますが、サービスや技術力はピンキリです。値段ありきで決めてしまうと、後悔する場面も出てくるかもしれません。両者のメリットデメリットをしっかり把握したうえで、信頼できる業者に依頼しましょう。
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- <公開日>2022年2月1日
- <更新日>2022年2月1日