日本を代表する「ベーシックな軽乗用車」として42年にわたって販売されてきたスズキ アルトが2021年12月、9代目へとフルモデルチェンジされました。
ここでは、マイルドハイブリッドシステムの採用などで話題を呼んでいる新型アルトの概要と特徴を、なるべくわかりやすくご紹介いたします。
デザインは絶妙に今っぽくなり、室内空間も拡大
新型スズキ アルトのデザインコンセプトは「気軽」「安心」「愛着」で、ベーシックなイメージによる親しみやすさが重視されています。とはいえ、丸みを帯びているもののスクエアでもある全体のフォルムはなかなか絶妙で、得も言われぬ“今っぽさ”が感じられます。
また全12種類となるカラーバリエーションのうち4種類は「ホワイト2トーンルーフ仕様」であるという点も、新型アルトのデザインが今っぽく見える理由かもしれません。
小柄なクルマでも「安心感」が得られるデザインとなっている新型スズキ アルト。写真のボディカラーは「アーバンブラウンパールメタリック ホワイト2トーンルーフ」。
インテリアは「毎日乗っても飽きのこないデザイン」を追求。抑揚のある面と線によって各部に立体感が生まれており、ネイビーカラーのトリムも質感の高さを生む一因となっています。そして今回、シートには「あらゆる世代で親しまれている」とスズキが言うデニム調の表皮が採用されました。
室内空間も従来型以上に広くなり、具体的には室内高が45mm拡大され、室内幅も25mm拡大。これにより前後席とも、ヘッドクリアランスやショルダールームのゆとりが増しています。さらに前席は、フロントドア開口部の高さを20mm拡大することで乗降性も改善されました。
各部の「厚み」と「立体感」が強調されている新型アルトの運転席まわり。
「落ち着いた雰囲気で、毎日乗ってもここちよい」をテーマとした室内空間。シートにはデニム調の表皮が使われている。
上級グレードにはマイルドハイブリッドシステムを採用
新型アルトはパワーユニットやプラットフォームも最新のものにアップデートされています。
エンジンはすべてノンターボですが、上級グレードには「R06D型」という最新世代のものが採用され、さらにモーター機能付き発電機とリチウムイオンバッテリーからなるマイルドハイブリッド機構も採用。これにより上級グレードのWLTCモード燃費はFF車で27.7km/L、4WD車でも25.7km/Lという良好な数字を実現しています。
減速時のエネルギーを利用して発電し、2種類のバッテリーに充電。その電力を生かしてモーターがエンジンをアシストすることで燃費が向上する「マイルドハイブリッドシステム」を新たに採用。
下位グレードは従来モデルと同じ「R06A型」というエンジンと、電動アシスト機構「エネチャージ」を搭載。こちらのWLTCモード燃費はFF車が25.2km/L、4WD車が23.5km/Lです。
車両の骨格は先代アルトから導入された「ハーテクト」という新世代の軽量・高剛性なプラットフォームを踏襲していますが、「環状骨格構造」や「柔軟性のあるマスチックシーラー」等々の新機軸を採用することで、結論として剛性と静粛性の向上が実現されています。
予防安全・運転支援システムも大幅に進化
新型スズキ アルトは装備内容も当然ながら強化されました。
インパネにはスマホの充電に便利なUSB電源ソケット2個が設置され、インフォテインメントシステムにはスズキの国内モデルとして初めて7インチのディスプレイオーディオを採用。このディスプレイオーディオはBluetoothやApple CarPlay、Android Autoといったスマホとの連携機能を備えており、ナビゲーション使用時にはヘッドアップディスプレイ(※オプション装備)に交差点案内が表示されます。
スマートフォン連携によって対応する地図アプリの表示も可能な、7インチのディスプレイオーディオを採用。
安全装備に関しては、6エアバッグは当然として、ステレオカメラ方式の自動緊急ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」や誤発進抑制制御機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシスト、後退時ブレーキサポート、後方誤発進抑制機能が全車に標準で採用されています。
さらに上級グレードでは、標識認識機能を備えたフルカラーヘッドアップディスプレイや、狭い場所でのすれ違いなどで重宝する「全方位モニター用カメラ」もオプション装備として用意される点が特徴となります。
ディスプレイに映される「全方位モニター用カメラ」からの画像。
新型アルトのグレードは大きく分けて全4種類
そんな新型スズキ アルトのグレードラインナップと、それぞれの車両プライスは下記のとおりです。
●A|94万3800円(FF)/107万5800円(4WD)
●L|99万8800円(FF)/112万9700円(4WD)
●ハイブリッドS|109万7800円(FF)/122万8700円(4WD)
●ハイブリッドX|125万9500円(FF)/137万9400円(4WD)
最廉価グレードである「A」でも基本的な安全装備などは普通に標準装備されていますが、「ドアミラーが電動格納式ではない」「ドアハンドルがボディ同色ではない」など、若干営業車チックでさみしい部分はあります。
ひとつ上の「L」になると営業車チックな見た目ではなくなり、さらにフルオートエアコンやLEDヘッドランプなどから成る「アップグレードパッケージ装着車」や「ホワイト2トーンルーフ仕様車」も選べるようになります。
そして「ハイブリッドS」は車名どおりマイルドハイブリッドシステムおよび新世代エンジンが搭載されることになり、最上級グレードである「ハイブリッドX」では14インチホイールがスチール製ではなくアルミ製に。さらに、バックアイカメラ付ディスプレイオーディオではなく「全方位モニター付ディスプレイオーディオ」が選択可能となります。
好バランスなおすすめグレードは「ハイブリッドS」または「ハイブリッドX」
これらの中からどれを選ぶべきか? というのは人それぞれの考え方と使い方次第ですが、おおむねの方向性としては下記のとおりとなるべきでしょう。
・営業車チックな「A」はさすがに避けたい
・燃費や装備内容より「低価格であること」を重視したいなら「L」
・低価格であることを重視しつつも、とりあえずマイルドハイブリッドが欲しいなら「ハイブリッドS」
・マイルドハイブリッドと同時にそれなりの装備内容を求めるなら「ハイブリッドX」
・ベーシックなアルトに“万全”を求めるならハイブリッドXの「全方位モニター付ディスプレイオーディオ装着車」または「全方位モニター用カメラパッケージ装着車」
いずれにしましても、それこそ全方位的に性能や装備内容が向上した新型スズキ アルトは、軽乗用車に「背の高さ」を特に求めないのであれば、大いにおすすめしたい王道の選択肢です。ぜひ詳細なリースプランや月額リース料金などを、この機会にお調べいただけましたら幸いです。
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執筆者
伊達軍曹 - 外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
- <公開日>2022年2月15日
- <更新日>2022年2月15日