【目次】
概要:普通車を含めて今、日本で一番売れている
ホンダN-BOXは、ホンダ初の軽スーパーハイトワゴン(全高おおむね1700mm以上の軽乗用車)として2011年に登場したモデル。初登場からいきなり大人気となったN-BOXは2015年度から2022年度まで8年連続で軽自動車ナンバーワンの販売台数を達成しただけでなく、2021~2022年度は登録車(いわゆる普通車)を含むすべての自動車のなかで「日本で一番売れている車」になっています。
そんなホンダ N-BOXは2017年に最初のフルモデルチェンジを受けたわけですが、このたび10月5日に再度のフルモデルチェンジが行われ、3代目のホンダ N-BOXが登場しました。
新旧N-BOXの揃い踏み。左から旧型N-BOX、新型N-BOX、新型N-BOXカスタム、旧型N-BOXカスタム
「HAPPY Rhythm BOX」をグランドコンセプトに開発された新型N-BOXは、プラットフォームや車両骨格、あるいは車内空間の広さや運転のしやすさなどは2代目を踏襲。しかしデザインや装備類をさらに魅力的なものとし、操作性と快適性の向上なども図ったことで、よりいっそう魅力的な軽スーパーハイトワゴンに仕上がっています。
新型N-BOXのフロントデザイン。(上)標準モデル (下)上級ラインに相当するカスタムモデル
外観:日本の暮らしや街並みになじむ“シンプルデザイン”に回帰
安定感のある四角いフォルムを基本とするスタンスの良さや安心感などの「N-BOXらしさ」は受け継ぎつつ、新型N-BOXの外観は「日本でもっとも支持される車として、これまで以上に人や街になじみつつ、ユーザーの心豊かな毎日を想像させる高い質感を実現させること」をテーマに設計されました。
そのため、ラインや加飾などによる過度な主張は抑える一方、要所の造形をさらに磨き上げることで「シンプルな造形そのものから上質さが感じられるデザイン」に仕上げられています。
標準モデルであるN-BOXは「HAPPY Rhythm」をキーワードに 、日本の暮らしや待ちにこれまで以上に調和するエクステリアデザインを志向。具体的には、フロントグリルはインターホンやスピーカーなどの身近な家電製品に見られる丸穴デザインを採用することで「ユーザーの暮らしに寄り添うイメージ」を目指し、ヘッドライトは人間の目の構造を参考に、上下の隠れ量や分割部の幅などをミリ単位で吟味。どの角度から見ても「瞳らしさ」が自然と感じられる、親しみやすいデザインになりました。
新型ホンダ N-BOXのエクステリアデザイン
微妙なところでは「アウタードアハンドルまわりのデザイン」をよりシンプルにしたことで、キャラクターラインとの一体感が高まっており、リアコンビネーションランプは、全体のフォルムになじむシンプルな造形でありながら、あえてコントラストの強いカラーで構成することで、「素直だが機能的に見える」というデザインが追求されています。
リアコンビネーションランプはシンプルな造形だが、コントラスト強めな色味を採用することで上手にアクセントを付けている
一方、上級ラインに相当するN-BOXカスタムでは、このジャンルでは一般的な「強さや押し出し感」を強調するのではなく、ホンダいわく「オーナー自らが誇りと満足を感じられ、『自分を高めるパートナー』と思っていただけるデザインを目指した」とのこと。
そのためN-BOXカスタムでは「PROUD Rhythm」をキーワードに、品格と高性能を感でさせる表現を追求。具体的には、フロントグリルはメッキを控えたグロスブラックのパネルに六角形の吸気口を整然と配置し、立体感のある緻密なデザインに。これによりフォーマルな印象を強めるとともに、光の当たり方で表情が変化する「高品位な見え方」が実現されています。
こちらは新型ホンダ N-BOXカスタム。いわゆる押し出し感のようなものではなく「上質な存在感」とでもいうべきニュアンスが追求されている
ヘッドライトには、反射板や遮光板を用いず、レンズの作用のみで集光・遮光を行うといいダイレクトプロジェクション式フルLEDヘッドライトをホンダとして初採用。精悍な造形と鮮明に光る輪郭が「先進感」と「特別感」を醸し出し、また左右のポジションランプと中央のアクセサリーランプをつなげる横一文字ライトにより、「加飾に頼らずワイド感や存在感を強める」という新しいカスタム像を強調しています。
先代モデルで軽乗用車として初採用した「シーケンシャルターンシグナルランプ」もより進化しました。発光部を限りなく薄くして、横一文字ライトの両翼を担わせるとともに、LEDを先代の5灯から6灯に増やしたうえで「導光レンズ」を適用したことで、光がよりシームレスに流れるように変わっています。またもちろんフロント・サイド・リアそれぞれに、ロー&ワイドな見え方と空力性能を考慮した専用デザインのエアロパーツが装着されているのも、新型N-BOXカスタムの特徴です。
新型ホンダ N-BOXカスタムのリアビュー。程よいサイズのエアロパーツが前後左右に装着されている
ボディのカラーリングは「ベーシックカラー」と「ファッションスタイル(N-BOXの場合)またはコーディネートスタイル(N-BOXカスタムの場合)」に大きく分かれています。
ベーシックカラーのほうは、文字どおりベーシックでありながらもしゃれたモノトーンの全7色(N-BOXカスタムは全6色)で構成されており、ドアミラーとアウタードアハンドル、そしてホイールの色味も異なる「ファッションスタイル(全3色)」と「コーディネートスタイル(全3色)」は、より華やかでクールな印象となるカラーリングです。
内装:囲炉裏にヒントを受けた「自然と人々が集まる場所」
新型N-BOXのインテリアデザイン全体を開発するうえで大きなヒントとなったのは、古民家などに残る伝統的な「囲炉裏(いろり)」であるとのこと。囲炉裏のように「自然と人々が集まる車」にしたいとの考えに基づき、室内を1つの大きなリビングととらえ、なおかつ要所の角をおおらかに丸めることで、乗員すべてをやさしく包み込むイメージが追求されています。
「囲炉裏」からヒントを得たという新型ホンダ N-BOXのインテリア
具体的な部分では、ステアリングホイールの内側でメーターを視認できるインホイールメーターを採用。ダッシュボードがフラット化されたことで、よりすっきりとした運転視界が実現しています。またそのメーターには、すべての情報を液晶パネルで表示するフルグラフィックメーターをホンダの軽自動車として初めて全タイプに標準装備されました。
新型ホンダ N-BOXの運転席まわり。出窓のようなインパネトレーはコルク風の質感になっている
インテリアカラーは、N-BOXは暮らしになじむグレージュ(グレーとベージュを混ぜ合わせたような色)を基本にコーディネート。シートはグレージュとグレーの2トーンファブリックで、ソファのような質感とやわらかな触感が特徴となります。座面の角や背もたれの肩口など、手をつきやすい箇所は汚れが目立ちにくいグレーとすることで、子育て世代のユーザーも安心して使える配慮がされています。
一方のN-BOXカスタムは、ハイパフォーマンスを予感させるブラックで全体がコーディネートされています。
シートは全部で3タイプを用意。「トリコットシート」は、ソファのようにやわらかな触感のファブリックシート。メイン部とサイド部を質感の異なるブラックとすることで、フォーマルな印象を高めています。
「コンビシート」はメイン部を上品なスエード調に、サイド部にはしっとりとした革感のプライムスムースを使い、ステッチも施されています。スポーティでありながら、細部までの上質感が感じられるシートといえるでしょう。
「フルプライムスムースシート」は、全面にプライムスムースを採用したうえで、スポーティなカーボン調アクセントも施すことで、パフォーマンスの高さが表現されています。
新型ホンダ N-BOXカスタムのインテリア
こちらは新型ホンダ N-BOXカスタムの「フルプライムスムースシート」
内装各所の使い勝手に関しては、従来型がすでに完成形の域に達していたため、大掛かりな改変はされていません。しかし各所の使い勝手はこまごまと確実にブラッシュアップされていて、そのなかでも特筆すべきは「自転車の積載がより便利になった」ということでしょうか。
「自転車で出かけた子どもをユーザーがN-BOXで迎えにいく際に、予期せぬ雨などが降ったとき、自転車を簡単に積み降ろしできれば喜ばれるに違いない」との考えから、自転車の積載性はさらに進化しました。具体的には、スライドボードの一部をくぼませることで自転車の前輪を通しやすくなっており、スライドボードの形状を変更したことで、自転車の両立スタンドを立てた際の安定性も向上しているのです。
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走行性能:細部までブラッシュアップしてよりいっそう静かに、乗りやすく
2代目(先代モデル)では、高度な動弁機構である「VTEC」や電動ウェイストゲートを軽自動車として初めて採用し、クラストップレベルの力強い走りと優れた燃費を両立させたホンダ N-BOX。新型では、基本性能に優れたパワートレーンは継承しつつ、スペックには表れない細部までの制御を見直すことで、先代モデル以上に上質で扱いやすい特性が実現されています。
エンジンは先代同様の自然吸気エンジンとターボエンジンの2種類ですが、Pレンジでのアイドリングストップを追加。アイドリングストップでの停止状態からPレンジに移行した際も、エンジンを再始動させることなく静かに駐車できるようになりました。
またCVT(無断変速機)にも細かでマニアックなチューニングを施し、乗る人の違和感や不安感につながる要素が徹底的に取り除かれたことで、従来型以上の上質な走りが実現されています。
基本となるボディ骨格についても、基本的には従来型のものを踏襲していますが、もともと軽量・高剛性で優秀だった骨格および付随する部分は、さらに細かくブラッシュアップされました。
改良箇所のすべてを挙げるときりがなくなってしまうのですが、側面衝突安全性はより向上し、ルーフライニング吸音シートを採用するなどにより静粛性も向上。また電動パワーステアリングや足回りなどの細かな部分も微妙にかつ徹底的に改善したことで、段差やうねりのある路面を越えたり、ざらついた路面などを走る際の安定性と快適性は従来型以上となり、なおかつクラストップレベルの性能であるとホンダは主張しています。
安全装備:最新世代のHonda SENSINGを全車標準装備
先代N-BOXも十分以上に安全装備が充実している軽乗用車でしたが、新型ではよりいっそうの進化を遂げました。
これまでも標準装備されていた「Honda SENSING」は広角カメラと高速画像処理チップを用いたシステムとなり、これまで以上の安心と安全を追求。先代モデルに対し「近距離衝突軽減ブレーキ」や 「急アクセル抑制機能」を追加したうえ、高速クルーズでは熟練ドライバーさながらのスムーズな加減速と操舵で運転をアシストできるまでに進化しています。
そのほか、ホンダの軽自動車として初めて「マルチビューカメラシステム」を採用したのも新型N-BOXのトピックだといえるでしょう。
フロントグリルと左右ドアミラー、テールゲートに備えた4つの魚眼CMOSカメラが撮影した高精細なデジタル映像を合成し、ステアリング舵角から算出したガイド線などを加えてディスプレーに表示するこのシステムは、後退時や駐車時はもちろん、見通しの悪い交差点に進入する場合や、狭い路地で対向車とすれ違う場合の安心感を確実に高めてくれます。
また基本的な部分としては、乗員保護性能と歩行者保護性能のさらなる向上を目指し、主に側面衝突への対応が従来型以上に強化されている点も、新型ホンダ N-BOXの特徴となっています。
グレード構成:当初のラインナップは比較的シンプル
新型ホンダ N-BOXのグレード構成と、それぞれの車両価格は以下のとおりです。
【N-BOX】
●ベースグレード
2WD=164万8900円/4WD=178万2000円
●ファッションスタイル
2WD=174万7900円/4WD=188万1000円
【N-BOXカスタム】
●ベースグレード
2WD=184万9100円/4WD=198万2200円
●コーディネートスタイル
2WD=205万9200円/4WD=219万2300円
●ターボ
2WD=204万9300円/4WD=218万2400円
●ターボ・コーディネートスタイル
2WD=216万9200円/4WD=230万2300円
ご覧のとおりターボ付きエンジンがラインナップされるのは「N-BOXカスタム」のみで、N-BOXのほうは自然吸気エンジンのみとなります。またN-BOXカスタムのコーディネートスタイルは、「モノトーン」と「2トーン」の2種類に分かれます。
またさらに上記のほか、電動ウインチなどの車いす専用装備とスーパーフレックススロープが装着される「スロープ」というグレードも、N-BOXとN-BOXカスタム ターボには用意されています。
まとめ:人々の生活を確実に支えてくれる「買いの一台」
メカニズムやパッケージング、あるいは使い勝手の面では先代モデルでも「十分以上!」と言えるレベルにあったため、このたび登場した新型ホンダ N-BOXに置いては全面的な刷新は行われず、「先代の美点をさらに伸ばす」というモデルチェンジにとどまっています。
とはいえそのことに不満を覚えるのは、おそらくはよほどのカーマニア(メカマニア)だけでしょう。一般的には、従来型ですでに素晴らしかった各種性能や使い勝手がさらに微妙に(かつ確実に)向上し、そして原点回帰した「シンプルで素敵な今どきの内外装デザイン」をまとうことになったのですから、そこには大満足を覚えるほかありません。
新型ホンダ N-BOXはこれからも、従来型同様に爆売れし、ニッポンの生活者各位の日々の生活を素敵に支えることになるはずです。そして、それに値する素敵な実用軽乗用車であることは、もはや疑いようがありません。
間違いなく「買いの一台」だと言えるでしょう。
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執筆者
伊達軍曹 - 外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
- <公開日>2023年12月25日
- <更新日>2023年12月25日