「三菱デリカミニ」“あえて選びたくなる軽”として人気沸騰中のスーパーハイトワゴン

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正式発表前から大きな話題となっていた三菱の新型軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」が5月25日に発売され、さらに大きな話題を呼んでいます。
この記事では、乗用四輪駆動の先駆け「デリカ」の名称を冠し新発売された三菱 デリカミニの概要と特徴を、なるべくわかりやすくご紹介いたします。

「タフなイメージ」と「愛嬌」を見事に融合させたデザイン

三菱デリカミニは、「DAILY ADVENTURE(日常に冒険を)」をテーマとした内外装デザインを特徴とする軽スーパーハイトワゴン。2020年2月に発売された「eKクロス スペース」の実質的な後継モデルです。

エクステリアは「SUVテイスト」を感じさせる仕様で、最新世代の三菱車に共通する「ダイナミックシールド」というグリル装飾と、半円形のLEDポジションランプを内蔵したヘッドランプの組み合わせが特徴的。前後バンパーに入る大きな「DELICA」ロゴや、ブラックに塗装されたホイールアーチなどにより、「デリカ」シリーズならではのタフなイメージが表現されています。

デリカミニを前方から見た外観

1月13日の予約注文開始からわずか4カ月あまりで約1万6000台のオーダーが入った三菱 デリカミニ。

デリカミニを後方から見た外観

4WD車のボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1830mm。2WD車の全高は30mm低い1800mmとなる。

とはいえ「タフなイメージ」であると同時に「愛嬌がある」というのもデリカミニのデザイン的な特徴であり、そのあたりも、いきなり大ヒット作となった理由のひとつでしょう。ちなみに公募により名前が決定したデリカミニの公式キャラクター「デリ丸。」も、その可愛さゆえに大人気となっています。

アウトドアでの使い勝手も大いに良好

三菱デリカミニのインテリアは、軽スーパーハイトワゴンらしい「高い機能性」が特徴です。後席は調整幅320mmの左右独立式ロングスライドやリクライニング機構などが備わり、シート表皮は、アウトドアでの使用や小さな子どもがいる家族が使用することを想定し、通気性に優れたはっ水素材を採用。さらに荷室床面と後席シート背面には、簡単に汚れが拭き取れる素材が用いられました。

デリカミニの室内イメージ

シート表皮は全車、通気性に優れたはっ水素材が採用されている。ボディカラーにかかわらず、内装色はブラックのみ。

後部座席を倒し荷物を積載したデリカミニ

アウトドアグッズを積載したデリカミニのラゲッジスペース

樹脂仕様のラゲッジボードと塩化ビニール仕様の後席シートバックを設定。泥の付いたアウトドアグッズなども気にせず放り込むことができる。

リアスライドドアの開口幅は650mmと十分で、助手席側の電動ハンズフリー開閉機能を全車に標準採用。上級グレードである「Tプレミアム」と「Gプレミアム」には、運転席側の電動ハンズフリー開閉機能も標準装備されます。

デリカミニの助手席側ハンズフリーオートスライドドアの使用イメージ

足先だけで自動開閉できる「助手席側電動スライドドア」を上級グレードに標準装備。その他のグレードでもメーカーオプションとして装備できる。

「普段走るデコボコ道」程度であれば十分な悪路走破性能

パワーユニットは、排気量660ccの直3自然吸気エンジン(最高出力52ps)と、同ターボ付きエンジン(同64ps)の2種類をラインナップ。いずれも最高出力2.7ps/最大トルク40Nmのモーターを使ったマイルドハイブリッド機構が組み合わされています。トランスミッションは全車CVTで、駆動方式は2WDと4WDのいずれかを選択可能です。

滑りやすい路面での発進をサポートする「グリップコントロール」と、急な下り坂や滑りやすい路面を下る際に車速を抑える「ヒルディセントコントロール」は全車標準装備。そして4WD車には165/60R15サイズの大径タイヤと、4WD専用チューニングのショックアブソーバーが採用されています。

とはいえデリカミニの4WD車は「ハードな悪路もガンガン走れる」というタイプではなく、BBQや日光浴、あるいは草野球・草サッカーなどをする際にしばしば遭遇するデコボコ道を、普通に走ることができる――というニュアンスのものです。

それゆえ「毎週のようにハードコアな山奥まで行き、ソロキャンプを楽しむ」みたいな使い方には向きませんが、大多数のユーザーは「ハードコアな山奥へ行く」というような生活は送っていないはず。せいぜいたまにBBQや釣り、草野球などを楽しむぐらいかと思われますので、デリカミニ4WD車ぐらいの「悪路走破性能」でも十分といえるでしょう。ちなみに、このタイプの「生活四駆」と呼ばれる4WDシステムの場合、通常は前輪のみ駆動し前輪がスリップしたら後輪に駆動力を配分するのですが、デリカミニは後輪にも常時少しだけ駆動力を配分しています。ですので、多くの軽自動車が採用している「生活四駆」よりは少しだけアドバンテージはあります。

砂利道を走るデリカミニの4WDタイプ

4WD車は、大径タイヤに加え、デリカミニ専用開発の前後ショックアブソーバーを採用している。最低地上高も2WDより5mm多い160mmを確保。

また、ちょっとしたデコボコ道を走るぐらいでしたら絶対に4WDである必要はなく、「最低地上高が高い2WD車」でも十分な場合は多いものです。その意味で、4WDではなく2WDのデリカミニに注目してみるのもアリでしょう(とはいえデリカミニの4WD車は2WD車より大径のタイヤ&ホイールを履いているため、単純に「カッコいい」「デリカミニの雰囲気に合っている」というのはあるのですが)。

先進安全装備がセットになった「三菱e-Assist」を全車標準装備

運転支援機能が充実しているというのも、デリカミニの特徴です。

フロントカメラとミリ波レーダーを使った高速道路同一車線運転支援機能「マイパイロット」は上級グレードのTプレミアムとGプレミアムに標準装備され、両グレードは「マルチアラウンドモニター(移動物検知機能付)」も標準装備。そして衝突被害軽減ブレーキシステム(歩行者検知付き)や踏み間違い衝突防止アシストなど8つの先進安全装備がセットになった「三菱e-Assist」は、下位グレードを含む全車に標準搭載されています。

デリカミニに標準装備されている先行者発信通知の機能イメージ

標準グレードであっても「三菱e-Assist」は標準装備。上は先行車発進通知[LCDN]の説明図版。

シンプルでわかりやすいグレード構成

そんな三菱 デリカミニの、現在販売されているグレードラインナップとそれぞれの税込み本体価格は以下のとおりです。

●G(2WD)|180万4000円
●G(4WD)|201万5200円
●Gプレミアム(2WD)|198万5500円
●Gプレミアム(4WD)214万9400円

●T(2WD)|188万1000円
●T(4WD)|209万2200円
●Tプレミアム(2WD)|207万4600円
●Tプレミアム(4WD)|223万8500円

グレード構成は非常にシンプルで、「G」と付くのが自然吸気エンジン搭載車で、「T」と付いているのがターボエンジン搭載車。そしてそれぞれに「プレミアム」と付く上位グレードがあり、こちらには全車速対応アダプティブクルーズコントロールやレーンキープ機能を統合した「マイパイロット」と、「マルチアラウンドビューモニター付きデジタルルームミラー」などの先進安全装備、さらには運転席側電動スライドドア、アルミホイール、防水ラゲッジルームなどが標準で装備されます。さらにステアリングヒーターやリアサーキュレーター、後席ロールサンシェードといった快適装備が標準となるのも「プレミアム」の特徴です。

そしてすべてのグレードにおいて2WDと4WDが選べるわけですが、4WD車には165/60R15という今回初採用の大径タイヤが採用されており、これによって最低地上高は2WD車より5mm高くなっています。また前述のとおり4WD車は不整路での乗り心地と安心感が向上する専用ショックアブソーバーが採用されているといのも、デリカミニ4WDの大きな特徴です。

約9割のユーザーが上級グレードを選択

三菱によれば、5月24日の時点で全体の約6割のユーザーが4WD車を選択しているとのこと。またグレード別では、およそ9割のユーザーがマイパイロットなどが標準装備される上級グレード「プレミアム」をオーダーしており、そのなかでも特に、ターボ付きエンジンを搭載する「Tプレミアム」の人気が圧倒的であるようです。

確かに、ハードな悪路を走るわけではないにしても「アクティブな休日のための相棒」として三菱 デリカミニを考えるのであれば、ターボ付きのほうが長距離移動は圧倒的にラクですし、4WD車に採用される専用ショックアブソーバーも「あったほうがいい」ということになります。仮に筆者がデリカミニを買うとしても、やはりTプレミアムを選ぶはずです。

「デリカを小さく・安くしただけの車」ではなく、「独自のキャラクターを備えた便利で楽しい、そしてカワイイ車」として見事に仕上がった三菱 デリカミニは、やはり1万6000台にものぼる受注数が客観的に証明しているとおりの、かなりステキな車であるようです。

出典:ニュースリリース - 三菱自動車、新型軽スーパーハイトワゴン『デリカミニ』を本日発売~予約注文の約6割が4WDモデル、安心で快適な走行性能を重視~

本記事で解説した内容も参考にしながら、ぜひ “あえて選びたくなる軽” デリカミニに注目してみてください。

キャンプサイトとデリカミニの後ろ姿

本格的な悪路を走って“探検”に出かけるタイプの車ではないが、こういったキャンプ場などを目指す分には十分な能力を発揮する。

ミツビシ デリカミニ

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
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  • <公開日>2023年9月22日
  • <更新日>2023年9月22日