【目次】
借りる期間の長短に応じて、選ぶべき「おトクな方法」は変わってくる
日本自動車工業会が発表した「2021年度 乗用車市場動向調査」によると、2021年に車を買い替えた人の、前に乗っていた車の保有期間は平均で「7.1年」だったようです。
出典:2021年度乗用車市場動向調査について - JAMA - 一般社団法人日本自動車工業会
確かに多くの人は、購入した車を7年間ぐらい(※新車時から車検を3回受けるぐらい)は乗り続けるのでしょう。しかし、世の中には「短期間だけ車を使いたい」というニーズもあります。
かなり極端な例としては「日帰り旅行のために1日だけ車を使いたい」というのがあるでしょうし、そのほかでは「普段は車を持つ必要がない生活をしているが、長期出張のため地方に滞在する2カ月間だけ車が必要だ」なんてケースもあるかもしれません。
どれぐらいの期間を「短期」と呼ぶかの定義はさておき、比較的短い期間のみ車を使いたいのであれば、車を「買う」という行為はナンセンスです。短期間である場合はレンタカー、カーシェア、カーリースのいずれかで「借りる」ほうが、はるかに合理的でしょう。
しかしその際は「借りる期間の長短」に応じて、レンタカーとカーシェア、カーリースのどれを選択すべきかが変わってくるはずです。
それぞれの借り方のメリットとデメリットを、車を借りる“期間別”に考えてみることにしましょう。
●ケース1:日帰り旅行や買い物などのため1日だけ借りる場合
1日だけ車を借りるなら「レンタカー」または「カーシェア」ということになります。どちらを選んでもいいと思いますし、借用する時間によっては、レンタカーよりカーシェアのほうが安上がりとなる場合が多いでしょう。
しかしカーシェアは「希望する時間に車が空いているとは限らない」「前の時間帯に借りている人の返却時間が遅れることもたまにある」「自宅からステーションまで遠いと、実はけっこう面倒くさい」などのデメリットもあります。
1日だけ借りるなら、当たり前ですが「カーリース」を選択するメリットはゼロです。と言いますか、どんなに短期間のカーリースであってもさすがに「1日」という超短期には対応していませんので、そもそも利用できません。
●ケース2:旅行のため3~4日間ほど車を使いたい
2泊3日あるいは3泊4日ぐらいの旅行のためだけに車を借りたいなら、選ぶべきは「レンタカー」です。
短時間だけ借りる場合はレンタカーより安上がりで、何かと便利であることも多いカーシェアですが、「3日から4日ほど連続して空きがある」とは限りません。そしてそもそも、旅先で借りる場合、都合のいい場所にカーシェアのステーションがあるとも限りません。鉄道や飛行機を使った旅行であればレンタカーがセットになった旅行商品が特に割安です。
「カーリース」は、3~4日間ほどの超短期利用には対応していません。
●ケース3:地方出張のため1~2週間だけ車を使いたい
自家用車を持っていなくても特に不便はないエリアに住んでいる人が、いわゆる出張のため1~2週間ほど、地方都市に滞在することになった――というのはよくある話です。
この場合に選択すべきは「レンタカー」です。
1~2週間ですとカーリースはそもそも対応していませんし、一般的なカーシェアも、ケース2の「3~4日間利用する場合」と同様に車両の空きや出張先のステーション有無の問題があるので不向きです。
レンタカーは基本的に、小型車の場合で「24時間借りて5000円ぐらい」という料金になるはず。これを7日間借りると、単純計算では5000円×7日で3万5000円ぐらいになってしまうのですが、多くのレンタカー会社では「ウイークリープラン」的なものが用意されています。
このプランを使えば、レンタカー会社にもよりますが「2万円前後」で、ホンダ フィットクラスの小型車を1週間借りることができるでしょう。2週間借りるのであれば、金額は×2です。
一部のカーシェア会社にも「ウイークリープラン」的なものはあるのですが、レンタカーのウイークリープランよりも料金は高めになります。
●ケース4: 1カ月間を超える地方出張を命じられた
営業所や会社の営業車がないエリアに1カ月から2カ月ほどの出張に出ることも、長い人生のなかではあり得ます。
その際にはどうしたって「車」がほぼ必須になるわけですが、出張期間が1カ月に及ぶのであれば、「短期カーリース」を利用するメリットが生じてきます。
レンタカーの「マンスリープラン」を使ってもいいのですが、その料金は、もちろんレンタカー会社によりさまざまですが、おおむね5万~10万円にはなるでしょう。
しかし「1カ月単位の短期カーリース」であれば、月額3万円前後で済む場合が多いはずです。「おおむね5万~10万円」と「3万円前後」ではおサイフや会社の経理に与える影響がまるで違いますので、これはもう短期カーリースを利用するしかない! という結論になります。
とはいえ物事は何でも表裏一体ですので、もちろん短期カーリースにもいくつかのデメリットは存在します。そこを把握したうえで、上手に利用する必要があります。
【短期カーリースのデメリット】
・すぐには利用できない
レンタカーの手続きは簡単ですので、「思い立ったらすぐ!」というニュアンスで利用できます。しかしカーリースは短期であっても「審査」や「さまざまな書類手続き」が必要であるため、車を実際に利用できるまでにはそこそこの日数がかかります。
・初期費用が必要
短期カーリース契約を結ぶには、初期費用として保証金などを支払う必要があります。これを不要としている会社もありますし、車の返却時に何も問題がなければ、保証金等は全額戻ってきます。しかし「数万円単位の初期費用がかかる」というのは、少しやっかいではあります。
・「車庫証明」も必要
わずか1カ月間の利用だとしても、カーリースを利用するにはレンタカーと違って自分で駐車場を確保し、その「車庫証明」を取得する必要があります。車庫証明を取得するには、記入済みの書類を持って平日に警察署へ行き、申請から1週間ほど待たなければなりません。
・「任意保険」への加入もほぼマスト
車庫証明を取得後にナンバープレートが交付されたら、お次は「任意保険(自動車保険)」に加入しなければなりません。世間では「いちおう任意」ということになっている自動車保険ですが、カーリースを利用するにあたっては「ほぼマスト」と言っていいでしょう。
以上のようなデメリット(というか手間)はありますので、1カ月間のみの利用だと、短期カーリースはやや微妙かもしれません。しかし利用期間が2カ月を超えるようなら、短期カーリースは「デメリットよりもメリットのほうが大きい」という状況になるはずです。
●ケース5:結婚が決まったが、先々を考えると長いローンは組みたくない
結婚することとなり、夫婦ふたりで楽しめる車が欲しくなった。しかし将来的にライフステージが変化する可能性も考えると、「今、最適な車」に対して長めのローンを組むのはちょっと……と悩んでいる方もいるでしょう。
例えば一例として、おしゃれなお若いご夫婦が長めのローンで「コンパクトな輸入オープンカー」を入手し、それでもってふたりの生活を謳歌するのは、とってもステキなことかと思います。
しかし、もしもその最中にお子さんがこの世に生を受けたならば――ローン残債を抱えた小さな輸入車は、ご夫婦にとっての「負の資産」と化してしまいかねません。
そういった事態を避けるためには、というか“今”を優先しつつも、将来的に柔軟な対応を可能とするためには、例えばオリックスカーリースの「いまのりくん」はナイスな選択肢です。
「いまのりくん」はどれでも好きな新車を選ぶことができる、“5年”を基本契約期間として設定しているリースプランです。しかし契約開始から2年が経過したら、実はいつでも自由に乗り換えや返却ができます。その際の「解約金」もありません(※)。
これであれば、例えばですが、まずは2人乗りのオープンカーである「マツダ ロードスター」を契約して、毎日の生活を存分に楽しむ。そして、その課程でもしも第1子がめでたく誕生したならば、タイミングを合わせて便利なコンパクトミニバンである「トヨタ シエンタ」に乗り換える――みたいな都合のいい技(?)も駆使できるわけです。
※返却時の損耗状況によっては、解約金が請求される場合もあります。
※返却時の走行距離が「経過月数×2000km」を超えた場合は、8円/kmの追加請求が発生します。
以上のとおりレンタカーとカーシェア、カーリースを比較的短期間のみ利用したい場合は、その期間に応じたそれぞれの「向き不向き」があるものです。ご自身がその車を使いたいと思う“期間”を明確にしたうえで、最適な手法を選択するようにしてください。
-
執筆者
伊達軍曹 - 外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
- <公開日>2023年7月10日
- <更新日>2023年7月10日