近年、色々なサービスでサブスクリプション(以下:サブスク)のサービス形態が増えています。身近なものですと音楽や動画の配信サービスのサブスクを思い浮かべる人が多いのではと思います。
そして車の保有のしかたにおいても、購入するのではなく「サブスクを利用する」という考え方が近年広まっており、「車のサブスク」商品も展開されています。
この記事では、そんな「車のサブスク」について、特徴やメリット/デメリットをご説明してまいります。
まず「サブスク」ってなに?
そもそも英語の「サブスクリプション(subscription)」には「定期購読、継続購入」という意味があり、もともとは新聞や雑誌の定期購読を意味する言葉です。
そこから派生し、近年では新聞や雑誌に限らず短期から長期契約の定額制という課金形態を採る各種サービスを「サブスク」と呼ぶようになりました。
サブスクは、そのサービスの提供方法によって以下の4つに分類することができます。
デジタル コンテンツ型 |
レンタル型 | ギフト型 | ショップ型 | |
---|---|---|---|---|
サービス提供方法 | コンテンツ配信 | 物品のレンタル | 消耗品の購入 | 店舗でのサービス提供 |
提供されるサービスの例 | 電子書籍、音楽・動画配信、ゲーム | 洋服、家具・家電、知育玩具 | 花、食品、化粧品 | ホテル、飲食店、ネイル、エステ、美容室 |
その他 | 解約後はコンテンツを利用できない | 契約終了後は物品の返却が必要 | レンタル型と違い返却義務はない | 店舗へ足を運ぶ必要がある |
ユーザーからすると「初期費用が少ない」「常に新しいバージョンに更新されるサービスを利用できる」「サービス期間はあるが、いつでも解約できる」という、買い切り型の販売方式では提供できないメリットを受けることができます。
そして、現在では車の保有のしかたにおいても「サブスクを利用する」という考え方が現れはじめています。
車に波及しつつある「サブスク」の特徴
車におけるサブスクとは、車の本体価格をはじめとした購入時の費用や、保険料やメンテナンス代などの維持費用をコミコミにしたうえで、契約期間中は“月々定額料金”を支払うことで好きな車を借りることができる仕組みのことを指します。
また、プランによっては車検をはじめとした各種メンテナンス費用も維持費用として含める事も可能になっています。
先ほどの分類でいう「レンタル型」にあたるサービスとなっており、契約の手続きは販売店まで出向いて対面で行う必要はなくWEB上で完結させることが可能で、プランによっては契約期間の途中で解約して別の車に乗り替えられる、という特徴もあります。また、サービス提供会社から車を借りていることになるため、契約終了後は車の返却が必要となります。
車のサブスクのメリットって何?
車のサブスクにはどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なものをご紹介しましょう。
●メリット1:初期費用を抑えることができる
車を購入する場合には、車両本体価格やオプション装備の代金だけでなく、さまざまな税金や販売店手数料も発生するため、最初の段階でそれらの「諸費用」を支払う必要があります。またオートローンを利用する場合には、車両代金の1割から2割を目安とする「頭金」が必要になることもあります。
しかし車のサブスクでは、購入の場合は必要となる「諸費用」が月々定額料金の中に含まれているので支払いの必要がなく、ローンを組むわけではないので「頭金」の支払いも原則不要です。つまり、仮に貯金が0円であっても初期費用なしで自分が好きな車を持てるということです。手元にお金がある場合でも、好きな車に乗るために取り崩す必要がないということになります。
●メリット2:車に関する出費が一定になる
「車を持つことに関する出費が月々一定になる」というのも、車のサブスクの魅力です。
車の税金や諸費用の支払いは購入の時だけではありません。自動車税や重量税といった税金や、いわゆる「強制保険」にあたる自賠責保険の料金などの支払いは、車を持ち続けている限り発生し続けます。しかし、車のサブスクはこれらの費用もコミコミになっているサービスなので、月々定額の利用料の支払いだけで良いのです。
また、メンテナンスプランを付ければ、車検やメンテナンスにかかる費用まで月々定額の利用料金に含めることができ、「よりによって今月は金欠なのに、車の整備代が○万円かかる……」といった突発的な事態を防止でき、計画的なカーライフを送ることができるようになるのです。
●メリット3:最新モデルの車に乗り続けることができる
車のサブスクには「契約期間」が定められており、その間は契約時に選んだ車に乗り続ける事となります。ただ、契約が満了したら(もしくは「乗り替えプラン」的なものがあれば契約期間の途中でも)車をサービス会社へ返却し、別の車を選んで新しく契約することができるため、常に「その時々の最新モデル」に乗ることが可能となります。
では車のサブスクのデメリットは?
前述のような多数のメリットがある「車のサブスク」ですが、物事というのは何でも表裏一体であるため、当然ながらいくつかのデメリットも存在します。代表的なものをご紹介しましょう。
●デメリット1:走行距離に制限がある
車のサブスクでは1ヶ月あたりの走行距離に制限が設けられていることが一般的です。一般的には1ヶ月あたり1,000km~2,000kmの設定となっている事が多いです。この走行距離制限は、契約期間の合計走行距離を月ごとに均したものなので、単月のみ超超する分には必ずしも問題とはなりません。しかし、「ちょっと(都内から)九州まで1,000kmぐらい走ってくるか!」といった使い方を継続的にする人は注意が必要です。
●デメリット2:原則的には中途解約ができない
車のサブスクでは契約期間中の解約は原則不可能で、やむを得ない理由で解約をするとしても、いわゆる違約金を請求されるケースが大半です。購入した車であれば、不要になったら途中で手放せばいいですが、車のサブスクを利用したい場合は、契約時に「自分はどのくらいの期間、その車に乗るか?」ということを考える必要があります。
●デメリット3:残価精算が必要となるケースもある
車のサブスクでは、契約満了時の想定車両価格を「残価」としてあらかじめ設定し、それを差し引いたうえで月額料金を算出しています。しかし車の状態が極端に悪化したり、買い取り相場が大幅に変動した場合、返却時の車の価値が設定した残価を下回ってしまうことがあります。その場合には「差額」を請求される場合もあります。
●デメリット4:自分好みのカスタマイズができないことがある
車のサブスクの場合は「元の状態に戻すことができないカスタマイズやドレスアップ」は原則できません。リース契約が満了し車をサービス会社へ返却する場合、その車の本来の状態である納車時の状態に戻す必要がありますが、カスタマイズやドレスアップの過程で車両に穴を開ける等した場合、元には戻りません。その場合は車の本来の状態を損ねているため、そのことによりサービス会社から差額を請求されることがあります。
元の状態にすぐ戻せるカスタマイズなら問題ないのですが、もしも「原状回復義務」が履行できないようなカスタマイズを行いたい場合には注意が必要です。
「車のサブスク」と「カーリース」はどう違うの?
これまで述べてきた「車のサブスク」ですが、細かな違いはあれど「カーリース」と特徴が非常によく似ているとお気づきの方もおられるかもしれません。
月々定額の料金で好きな車に乗れることから「車のサブスク」という呼び方が広まっていますが、商品としてはカーリースと全く同じなのです。
一般的に「サブスク」のメリットとされる「いつでも解約」ができない点もカーリースと全く同じであり、車のサブスクが一般的な「サブスク」なのかと問われると厳密にそうと言い切ることができない部分であると同時に、カーリースという商品の最大のデメリットの1つでもあります。
そのデメリットを回避できるのが、オリックスのマイカーリース「いまのり」シリーズです。
一般的なカーリースや車のサブスクと同様に契約期間が決まっておりますが、契約開始から一定の期間が経ったらいつでも好きなタイミングで解約して車を返却することができ、その際は中途解約金が発生しないというプランになっています。(中途解約金の話とは別で、車両返却時の損耗状態や走行距離によって追加請求が発生する事があります。)
「一定の期間が経ったら」という条件はあるものの「いつでも解約」ができるので、一般的な「サブスク」に近いプランという事ができるでしょう。
車種は国産全メーカーからお好きな車を選ぶことができますので、車のサブスクでご検討している方もぜひチェックしてみてください。
オリックスのマイカーリースについての詳しい説明はコチラをご覧ください。
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執筆者
伊達軍曹 - 外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
- <公開日>2023年9月22日
- <更新日>2023年9月22日