【プロが選ぶ今おすすめの一台】5ナンバー系ミニバンは顔で選べ! そして私はホンダ ステップワゴン エアーを選ぶ!(MJブロンディ)

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ホンダ ステップワゴンに代表される「5ナンバーミニバン」は、一時は国民車と言われたほど、日本に浸透している。10年ほど前までは「結婚したら愛車はミニバン」というのが定番だった。

ミニバンは基本的にファミリーカー、それも子育て世代のためのファミリーカーとして定着しているが、まだ子供が生まれていなくても、いずれ生まれるのなら結婚と同時にミニバンを買おう、という雰囲気があった。子供が巣立って夫婦だけになっても、相変わらずミニバンに乗り続けているケースも多い。孫が生まれて実家に来た時に便利だから、という理由もあるとか。たとえ孫の里帰りが年に1~2回であっても、その晴れ舞台でみんなに喜んでもらいたい。そのためにはミニバンがベスト、ということだ。

現在はSUVブームもあり、かつてほどの勢いはないが、それでも5ナンバーミニバンはファミリーカーのド定番だ。

正確には、現在はステップワゴンもノア/ヴォクシーも、幅が5ナンバー枠を若干超えているので3ナンバー扱いだが、それでも全幅1750mm前後に抑えられており、事実上5ナンバー(全幅1700mmまで)と変わらない取り回しのしやすさを維持している。そこで本稿では便宜的に、「5ナンバー系ミニバン」と呼ぶことにさせていただきたい。

5ナンバー系ミニバンは、サイズはそれほど大きくないので取り回しがラクなのに、室内はウルトラ広くて、近所の買い物から多人数乗車、小さな引っ越しにも使える万能車だ。災害時には家族の避難所としても使うこともできる。5ナンバー系ミニバンを買っておけば間違いはないし、なにかと安心だ。

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ステップワゴン エアー

「シンプルなデザイン」に回帰して勝負に出た新型ステップワゴン

5ナンバー系ミニバンには、3つの勢力がある。

第一に、トヨタのノア/ヴォクシー。これが最大勢力だ。続いて日産のセレナ。これが2番目の勢力だ。そして3番目がホンダのステップワゴンである。

ステップワゴンは、5ナンバー系ミニバンの草分けとして、96年に初代が登場し、大ヒットした。その後、各社が後追いして、5ナンバー系ミニバンの巨大市場が形成されたが、元祖はあくまでステップワゴン。それが第3勢力にまで落ちてしまったのは、何が原因だったのか。

実は、クルマの専門家である私にも、はっきりとはわからない。5ナンバー系ミニバンは、クルマとしてよりも空間としての要素が大きく、走りの良し悪しで売れ行きが決まるわけではない。ステップワゴンは決して悪いクルマではなかったが、ここ10年ほど人気が落ち、第3勢力が定位置になっていた。

ホンダはそれを挽回すべく、新型ステップワゴンで勝負に出た。デザインを思い切ってシンプルにして、初代へと回帰させたのだ。最大勢力のトヨタ ノア/ヴォクシーが、威圧感のある顔付きをエスカレートさせているのとは好対照。つまり逆張りだ。

こちらが新型ホンダ ステップワゴン。向かって左がベーシックな「エアー」で、右が上級仕様の「スパーダ」。

ミニバンにとって、顔付きは非常に重要な要素だ。なぜなら、ライバルとの違いをもっともアピールできるのが顔だからだ。

ミニバンのボディは箱型。5ナンバー系ミニバンはどれもサイズはほとんど同じなので、室内空間の広さもほとんど同じだし、シートアレンジなどの使い勝手も大差ない。走りに関しては、購入層がそもそもあまり重視していないので、決定的な要素にはならない。結果的に顔や、全体の雰囲気が勝負になってくる。「人は第一印象で決まる」のクルマ版だ。

逆に言うと、5ナンバー系ミニバンは顔で選んでかまわない。どれも中身はちゃんとしているので、顔の好みだけで選んでしまっていい。そこにはもはや、専門家の目など必要ないわけで、こういう原稿も無意味に近いが(苦笑)、事実なので認めるしかない。

実は私は、5ナンバー系ミニバンの中では、断然ステップワゴン推しである。理由は、デザインがシンプルで美しいからだ。走りもいい。特にハイブリッドモデルの走りが気持ちいい。しかし走りに関しては、ノア/ヴォクシーのハイブリッドもいいし、セレナのe-POWERも魅力的だ。それぞれ個性はあるが、どれも問題なく走るので、専門家の私でも、やっぱり決め手は顔になる。5ナンバーミニバンは顔で選んでしまっていいのだ!

なんともシンプルな、しかし、ただシンプルなだけではないステップワゴン エアーのフロントマスク。

2種類のデザインと2種類のパワーユニットを伴って登場

ここで、新型ステップワゴンについておさらいしておこう。

現在販売されているステップワゴンは、通算6代目のモデル。プラットフォームやパワートレインは、先代の大幅改良型だが、サイズは先代よりもひとまわり拡大され、全幅は1730mm、全長は4800~4830mmと、いずれも5ナンバー枠を少しだけはみ出している。その分、ミニバンの要であるシートは、ベンチシート仕様の2列目以外は新しくなり、快適性が向上している。

スタイリングは2種類用意されている。シンプルな「エアー」と、カスタム系デザインの「スパーダ」だ。

パワートレインは前記のとおり先代の改良型で、1.5Lターボ車と、2Lハイブリッド車をラインナップ。ガソリン車のみ、FFのほかに4WDが選べるのも変わりない。

シートレイアウトは、2列目に新型キャプテンシートを採用した7人乗りと、ベンチシートの8人乗りの2種類となっている。

ステップワゴン エアー(左)と同スパーダ(右)のリアビュー。

ステップワゴン エアーの明るくシンプルなイメージの運転席まわり。

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ステップワゴン エアー

こちらは精悍なブラックを基調とするステップワゴン スパーダ。

7人乗り仕様の2列目はキャプテンシートで、8人乗り仕様はベンチシート。キャプテンシートは前後左右に自由にスライド可能。

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ステップワゴン スパーダ

ステップワゴン エアーのデザインは和製レンジローバー!

ミニバンは顔で選んでしまっていいと書いたが、ステップワゴン、特にシンプルな「エアー」のスタイリングは大傑作だ。

シンプルとは言っても決して「ただの箱」ではなく、面には微妙な曲線による張りがあって美しい。その美しさは、新型レンジローバーをも彷彿とさせる。余計なラインがまったくなく、水平感の高いデザインという部分もそっくりだ。ステップワゴン エアーのデザインは和製レンジローバーだ! 個人的には、それだけで十分買う理由になる。つまり、私が5ナンバー系ミニバンを買うなら、断然ステップワゴン エアーなのだ。

MJブロンディ氏大絶賛のホンダ ステップワゴン エアー。

装備をしっかり装着したいならスパーダを選ぶしかないが、スパーダのデザインも、ノア/ヴォクシーなどライバルに比べれば十分シンプル。ステップワゴンの個性はスパーダでも主張できる。しかし、シンプルなほうがお安いのは確かで、特にリースの場合は、ダイレクトにリース料が違ってくる。

ライバルと比べればシンプル系といえるステップワゴン スパーダのデザイン。装備内容はエアーよりスパーダのほうが充実している。

私ならエアー2WDの8人乗りハイブリッドを選ぶだろう

結果、私がステップワゴンを選ぶなら、これにする。

●グレード|2WD 5ドアe:HEV(ハイブリッド)AIR 8人乗り
●ボディカラー|フィヨルドミスト・パール
●オプション|イクリプスエントリーナビ、ETC(パイオニア)、バックカメラ(パイオニア)、ドライブレコーダー(前後方型)、フロアマット

ハイブリッドを選択したのは、やはりガソリン車とは燃費が最大2倍程度違うし(ゴー・ストップの多い一般道走行の場合)、加速も余裕があって気持ちいいからだ。そこにはお金をかける価値がある。

8人乗りは2列目がベンチシートになるが、5ナンバー系ミニバンの場合、そのほうが寝転がって休憩することもできて、使い勝手がいいと考えている。3列目シートは緊急用で、普段は床下に格納しておくほうが、ラゲージが広くなって便利だ。

これでリース料は、「いまのりセブン」で月々6万2040円と出た。

ちなみに、同グレードのガソリン車(1.5Lターボ)の場合は、月々5万7090円。その差約5000円だ。

これを単純にガソリン代だけで取り返すには、ハイブリッドが20.0km/L、ガソリンターボ車が13.9km/Lというカタログ燃費、そしてガソリン価格を160円/Lで計算すると、月に1400キロほど、年間で1万7000キロ走る必要が出てくるが、7年後にクルマが自分のものになった時の下取り価格は、ハイブリッドのほうが高いはず。参考にしていただけたら幸いだ。

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ステップワゴン エアー

執筆者
MJブロンディ(清水草一)

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で道路交通ジャーナリストとして活動。
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  • <公開日>2022年9月30日
  • <更新日>2022年9月30日
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