「スズキ キャリイトラック vs. ダイハツ ハイゼットトラック」タフな働きモノ・軽トラのベストバイ決定戦!【同クラス人気車対決】

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農作業などに使うのはもちろんのこと、最近はプライベートで使うユーザーも爆発的に増加している「軽トラ」。そして軽トラ界の二大巨頭といえば「スズキ キャリイトラック」と「ダイハツ ハイゼットトラック」なわけですが、両者はどこがどのように違い、またぶっちゃけどちらがより優れているのでしょうか?

さまざまな角度から検証してみることにしましょう!

【ラウンド1:サイズとメカニズムの違いは?】サイズはほぼ同じだが「4速ATかCVTか?」という違いはあり

ボディサイズに関しては、全長と全幅は両者ともまったく同じで、全長3395mm×全幅1475mmとなっています。そして全長は、スタンダードなグレード同士で比べるとダイハツ ハイゼットのほうが15mm高いのですが、まぁここについても「だいたい同じ」といっていいでしょう。つまり両者のボディサイズはほとんど同じです。

こちらがスズキ キャリイトラックの標準ボディ

こちらはダイハツ ハイゼットトラックの標準ボディ

搭載エンジンも両者とも0.66Lの直3ノンターボで、それぞれの最高出力と最大トルクは微妙に違いますが、ここも「だいたい同じ」と言い切ってしまっていいでしょう。

車のメカニズムとして異なるのはトランスミッションです。マニュアルトランスミッション車は両者とも5MTですが、オートマチックトランスミッションは、スズキ キャリイトラックが4速ATを採用しているのに対し、ダイハツ ハイゼットトラックはCVT(無段変速)です。

どちらがいいと一概にはいえない問題ですが、CVTはギア比の幅が広いため、重い荷物を積んでいる際は力強く発進でき、逆に空荷状態で高速道路などを走る際は、ギア比を高めてエンジン回転数を低く抑え、燃料消費量を節約することもできます。

さらにCVTは「変速時のショックも生じない」という美点もあるため、ここは――微妙な問題ではありますが、「ダイハツ ハイゼットトラックが若干優勢」と言えるかもしれません。

ダイハツ ハイゼットトラックのATはギア比の幅が広い「無段変速機(CVT)」となる

【ラウンド2:荷台の広さは?】キャビンが広いタイプの荷台長に関してはダイハツ ハイゼットトラックが有利

標準ボディの場合は両車とも荷台長1940mm×荷台幅は1410mmということで、荷台の寸法に差はありません。実際に積めるモノの数を見ても、両者とも「ビールケース」は60個で、一般ユーザーが運ぶ機会があるかどうかはわかりませんが「みかんコンテナ」は54個です。

写真はスズキキャリイトラックの標準ボディ

標準ボディにおいては寸法差のない両者ですが、キャビンを拡大した仕様である「スーパーキャリイ」と「ハイゼットトラックジャンボ」では、荷台長が少々異なります。荷台幅はどちらも1410mmなのですが、荷台長はスズキ スーパーキャリイ1480mmであるのに対し、ダイハツ ハイゼットジャンボは1650mmが確保されています。

こちらはスズキ スーパーキャリイ。キャビンが広い代わりに、荷台長はやや短めとなる

こちらはダイハツ ハイゼットトラック ジャンボ

これは後述する「シート後部に設置された収納スペースの奥行の違い」に基づくものなので、一概に「ハイゼットトラックジャンボのほうがイイ!」という話でもないのですが、キャビンが広いタイプの仕様においてもなるべくたくさんの荷物を載せたいと考えるのであれば、スズキ スーパーキャリイよりもダイハツ ハイゼットトラックジャンボのほうが若干有利だといえるでしょう。

【ラウンド3:居住空間の快適さは?】開放感が感じられるのはスズキ スーパーキャリイ

標準ボディ同士で比べた場合の「居住空間の広さ」は、両車ともおおむね同程度です。標準ボディのヘッドレストは両車ともに固定式で、ステアリングホイールとシートとの間隔もほぼ同じ。シートの座面の奥行寸法も、両車ともに440~460mmです。そして運転席シートのスライド量も、標準ボディの場合は両者とも140mmです。

しかし「キャビンが広いタイプ」同士で比べると、スズキ スーパーキャリイのほうが車内は若干広々しているように感じられます。

前述のとおり、スズキ スーパーキャリイは荷台長がダイハツ ハイゼットトラックジャンボよりも170mm短いのですが、シート後部に設置された収納スペースの奥行は、ハイゼットトラックジャンボの175mmを75mm上まわる250mmが確保されているのです。

微妙といえば微妙な差ですが、スーパー/ジャンボといったタイプにおいては、スズキ キャリイの室内のほうが開放感が強いと感じられます。

ダイハツ ハイゼットトラック ジャンボのキャビン。シート後方スペースの奥行は175mm

こちらはスズキ スーパーキャリイ。シート後方スペースの奥行は250mmで、運転席は40°、助手席は24°のリクライニングが可能

【ラウンド4:運転支援機能は?】「誤発進抑制機能」はダイハツ ハイゼットトラックが優秀

業務用として使われることが多い軽トラックではありますが、スズキ キャリイトラックには「スズキ セーフティ サポート」が、ダイハツ ハイゼットトラックには「スマートアシスト」が搭載されています。

両車とも2個のカメラをセンサーとして使う衝突被害軽減ブレーキが中心となるシステムで、両者とも、昼間だけでなく「夜間の歩行者」とも衝突を回避してくれます。

しかしペダルを踏み間違えた際の衝突事故を防ぐ誤発進抑制機能は少し異なります。スズキ キャリイトラックはエンジン出力を絞る機能のみですが、ダイハツ ハイゼットトラックは、まずはエンジン出力を絞り、さらに障害物に衝突する危険性があるとシステムが判断すると、ブレーキ制御も作動するのです。

ここも微妙な違いではあるのですが、ダイハツ ハイゼットトラックのほうが若干優勢であえるとはいえるでしょう。

ダイハツ ハイゼットトラックの誤発進抑制機能は、警告音の発出とエンジン出力抑制でもダメそうな場合には、物理的なブレーキが作動する

【ラウンド5:価格の違いは?】類似グレードの価格はほぼ同じ

両者とも使用目的に応じたさまざまなグレードが用意されているため、その全部を比較することはできないのですが、一般ユーザーが使うことが多いと想定される「キャビンが広いタイプの上級グレード」同士で車両価格を比較すると、結果は下記のとおりとなります。

●スズキ スーパーキャリイ X(2WD・AT)|129万5800円
●ダイハツ ハイゼットジャンボ エクストラ(2WD・CVT)|129万8000円

ハイゼットジャンボ エクストラのほうが2200円高いわけですが、実質的には「両者の価格はほとんど同じ」と言ってしまっていいでしょう。

【判定】実力はおおむね同等。ライフスタイルに合わせて選べばそれでヨシ!

さすがは「軽トラ界の二大巨頭」だけあって、ここまで見てきたとおり、両者の実力はおおむね同等です。そのため、基本的には「どちらでもお好きなほうを選べば、それでいいでしょう」というのが最終結論となります。

しかし「キャビンが広いタイプ」においてはスズキ スーパーキャリイのほうが若干快適で、「誤発進抑制機能」についてはダイハツ ハイゼットトラックのほうが優秀――という少々の違いはあります。

このあたりの違いをベースに、「自分だったら軽トラックをどう使いたいか?」というイメージを膨らませながら検討すれば、おのずの「あなただけの正解」は導き出されるでしょう。とはいえ前述のとおり実力は伯仲していますので、結果的にどちらを選んだとしても、何ら問題はありません。

執筆者
伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。自動車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。以来、有名メディア多数で新車および中古車の取材記事を執筆している。愛猫家。
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  • <公開日>2023年5月8日
  • <更新日>2023年5月8日
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